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「さようなら、姉上。もう二度とお目にかかることもありますまい」
「ええ、お元気で、五の君。兄上を二度とあの方に近づけないでくださいましね」
「姉上が手綱を握っていてくだされば、わたしも安心です」
誇らしげに花のように微笑む、一見はかなげでたおやかで美しい毒花のような姉上。
どうぞその魅力と手腕で、わたしから一の兄上を取り上げようとする者を、虜にしておいてくださいませ。
美しいきょうだいと言われるままの姿で、わたしたちは挨拶を交わして別れた。
次に会うときはきっと、永の別れの時でしょう。
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