雨空

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「規律。礼。着席。」 教頭の挨拶と共に全校生徒が動く。 着席後のガタガタとしたパイプ椅子の音は煩い。 生憎、今日は雨だった。 雨はあまり好きではない。 空が泣いているみたいだ。 校長の長ったらしい挨拶を聞くものは少なく、友達と喋るなどとしている者が大半だ。 3年生からすればこの時間さえも惜しいものである。 何て言ったって受験を控えているのだから。 もう既にこの時期から部活の時間を削ってまでして、勉強に力をいれる者もいると言うのに。 この退屈な時間は高校生になってもなくならないと思うと、更に憂鬱な気分になる。 ここの中学校は進学校だからかなのかはわからないが1年生からクラスが変わることもない。 それは、クラス替えに浮かれること無く勉強しろということなのかもしれないが。 担任も離任がない限り変わることがない。 だからといって、担任と生徒との距離は近いわけでもない。 担任は生徒に興味を持っていないし、生徒も勉強の為の教科書としか思っていないだろう。 窓の外を眺めるても、 水滴で空は見えなかった。
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