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「提出物持ってきたか?」
担任が煩いくらいに大きい声を出す。
提出物は多かったが、困ることはなかった。
寧ろ春休みの期間、最後の方は暇だった。
「じゃあ提出物後ろから集めろ。」
一番後ろの窓側の席。
そこが俺の席だった。
立ち上がって提出物を集めていく。
俺の列には提出物を忘れた者はいないようだった。
「じゃあ提出物を忘れた奴、立て。」
2、3人が立ち上がる。
そのなかには、翔─カケル─もいた。
「忘れた奴等は明日持ってくるように。」
「はーい。」
彼等が座ったあとに、チャイムが鳴りホームルームが始まる。
ホームルームは担任の下らない話と、配布物を配られて終わった。
部活のある奴等も、もう早く行く必要はないのでゆっくりこご飯を食べたりしている。
「宇宙─ソラ─、部室行こ。」
翔に言われ部室へ行く。
写真部の部室は校舎の隅の元は倉庫だったところにある。
写真部に行くと隣のクラスの颯─ハヤテ─、天月─アヅキ─が待っていた。
「多分写真部も今年で終わりだね。」
天月の言葉に颯が小さく頷き、「そうだな。」と言った。
写真部には2年生はいなく、3年生4人しかいない。
今年も、新入部員が入ることはないだろう。
「どうせ俺達7月で部活引退だしね。」
写真部は、特に大会などに写真を応募することもなかったため、新入部員へのアピールをするものもなかった。
「最後にさ、俺達さ、何かに応募しね…?」
翔が少し遠慮がちに言う。
少し考えてから、頷いてみた。
「いい考えだと思うよ。」
俺がそう言った後、颯が天月にスマートフォンの画面を見せた。
すると、天月が少し微笑む。
「颯の案なんだけどさ、
このコンクールなんてどうかな。」
そう言って天月は颯のスマートフォンを見せてきた。
そこには、全国中学生写真コンクールの団体部門のサイトがあった。
団体で4枚の写真を選び応募するらしい。
一番良い団体には賞状と賞金が渡されるそうだ。
「いいな。
それにしよう。」
丁度4人だし、優勝は無理だろうけど、きっと思い出にはなる。
「よしっ、じゃあ頑張ろう!」
翔の一言に4人で右手を合わせ笑いあった。
外はまだ雨が降っていた。
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