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神崎さんは空に似ている。
優しそうで、綺麗で、けれど、どこか強さを秘めている。
そんな気がする。
時間が経ち次々と生徒が教室に入ってきた。
チャイムが鳴る少し前に最後の1人が走って入ってきて、全員が揃う。
今日も遅刻する者はいなかった。
授業の内容を聞くよりも、自分で持ってきた参考書や単語帳を使って勉強する方が、よっぽど受験対策になると俺は思う。
この無駄な受験を必死で聞いているのなんて、受験に余裕がない中の下より下の人たちくらいだ。
真面目な神崎さんは聞いているようだけど。
暇な授業を聞き流しながら、神崎さんについて考えてみることにした。
我ながら、変態じみたことだと思うが。
神崎さんと言う人間は、おしとやかで、男女両方に優しい。
つまり、優等生なうえに優良生でもあるのだ。
その性格は一見男子には好かれども、女子からは嫌悪感を抱かれそうだが、神崎さんの場合は違った。
神崎さんを守るように、彼女のわりにはいつも、少し気の強い女子達がいる。
彼女達の前で神崎さんに触れようものなら、こちらは男子といえども歯が立たない。
それが現実なのだから、神崎さんは余計に高嶺の花となっていくばかりだ。
今日の朝のことですら、幻かと思ってしまうくらいに。
神崎さんに興味があるのは翔だけでなく、学年の男子生徒の殆どが彼女に惚れていた。
俺も、惚れているとまではいかないが、少し気にはなっている
颯と天月は違うようだが。
2人はクラスが違うためか、神崎さんのことについてはあまり知らず、興味もないようだった。
もう授業は終わりそうだったので、ノートだけは机にしまった。
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