恨み

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「今夜で最後にしよう」 男はたばこに火を点けながら言った。 「なによ、突然」 隣に寝ていた女は布団から顔を出した。 「結婚するのさ」 「聞いてないわ、そんなこと」 「言う必要ないだろう」 「相手がいたなんて。私は本気だったのに」 「俺は、そんなつもりは」 「なんて人。あなたは絶対幸せにならないわ」 女の言葉を無視するかのように、男は服を着て出ていった。 あの女はしつこかったな。 もっと割りきった相手にしないと。 女は飽きたら乗り換えればいい。 恋愛なんて所詮遊びだ。 いずれ終わりがくる。 いや、俺が終わらせる。 そして、また違う遊びを始めるだけだ。
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