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隔離病棟で過ごすその女の子が、出来るだけ明るい気持ちになれるよう、私にはピンクのリボンが付けられました。
女の子はまず私に、母親の絵を書きました。そして、その隣に父親の絵も。
私はただのノートです。しかし、私はその時から、女の子にとって母であり、父である存在になったのです。
女の子は次に、物語を書き始めました。その物語は、シンデレラのような、白雪姫のような、それでも全く別の、オリジナリティ溢れる物語でした。
私は、女の子が物語を書く度にその姿を変えたのです。
ある時にはお姫様、そしてまたある時には王子様。私はたくさんの役を演じました。私と女の子には、無限の可能性が秘められていました。女の子は隔離病棟に居ても、自由で充実した日々を送っていたのです。
女の子は病と闘いながら、それでもいつも笑顔でした。そう、何ものにも囚われない笑顔で。
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