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アトレアはとりあえず私を横に立たせる。
おじいちゃんは目線を細め、口を開く。
「そこの人間族の娘は…」
どうやら私のことを言っているらしい。
「あぁ、こいつは人間族ではないよ。魔人族だ、アンカ。名前はアリス・ベルフェゴール。」
アトレアの人型の姿の横に立つ私の身長大体アトレアの腰あたりまでしかない。
だからだろうか、先ほどからアトレアが私の頭に手を置いているのは。
魔人族!?と驚くような表情をする
「貴様…ツノはどうしたのだ?」
身をしゃがめ、私の身長に合わせてくれるアンカと呼ばれていたおじいちゃんが私に聞く。
「……異形…ツノは…鎖骨にある…もう成長しない……」
ぽつぽつと話し、マフラーを外す。
鎖骨にある黒い3cmほどのツノ。ついでに黒い羽根も出すと、納得したように頷くおじいちゃん。
おじいちゃんが立ち上がり、私は素早くマフラーを巻きつける。
そしてバサバサっと羽根を戻し、きゅっ、とアトレアの洋服の裾を掴む。
くしゃっと頭を撫でてくれたアトレアに少し安心した。
「そして…王蛇様、その小娘をどうするつもりですか?」
まさか育てる、だなんて言いませんよね?と続けたおじいちゃんに恐怖を感じ、アトレアを見る。
「そのまさかだ。…俺にはこの小娘が愛おしくてな…この子が15になったら一緒に旅に出ようと思う。それまで育てるつもりだ。」
優しい目をし、こちらを見、またおじいちゃんに視線を戻し鋭い目つきになる。
反論はするな、とでも言いたげな目だ。
にやっと口元を緩め、
「その小娘のどこに魅了されたので?色気も何もない小娘に…」
見定めをするような目のおじいちゃん…これからはスケベジジィと呼ぼう。
「スケベジジィ…私まだ7歳になったばっかりなのだけれど…色気があったらびっくりするでしょ。」
ぶふっと吹き出してくくく、と口元を手で覆い笑いを抑えるアトレア。
眉間にしわを寄せ始めたスケベジジィがチッと舌打ちをし、
「王蛇様、そのうちまた来ます。…小娘覚えてろよ。」
蛇の姿に戻り、しゅるると窓から出て行くスケベジジィ。
もう来んな、といいたげな私に
「よくやっ…た…ふふっ…あはははっ!!」
ついには笑いを堪えきれずにおもいっきり笑ったアトレア。
つられるように、思い切りの笑顔を見せる私。
それから15分、二人とも大笑いしていた。
「ひぃ…腹いてぇ…っ…あははっ!!」
「どんだけ笑ってるの…くふふっ…」
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