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あの後、慣れない飛行に疲れてしまったのかベッドに倒れ込むようにして寝てしまった。
あまり寝心地がいいとは言えないベッドだったが、なぜかとても安心して眠れた。
次の日、私にしては珍しく目覚めがスッキリしていた。
すっくと立ってあたりを見回してアトレアを探すが家の中には居ないようだ。
机の上の鏡を見てみると寝癖がひどかったので手櫛で整える。
前世と変わらない茶色の髪、オレンジ色の伏せがちな目に平均的な白い肌。
変わったのは年齢と髪型ぐらいだろうか。
14歳だった私が7歳になり、ロングだった髪がボブになっている。
けれど天然パーマは同じらしく、ふわふわとした雰囲気を醸し出しているようだ。
あぁ、それにしてもなんだかお腹が空いた…
「ただいま。あぁ、アリス起きていたのか。」
ちょうどその時、人型の姿のアトレアがカゴいっぱいにブルーベリーのような果物を入れて戻って来た。
「うんっ。ごはん…手伝うことある?」
バッと振り向き、アトレアに何か手伝うことはないかと聞く。
どうやらこの果物は皮などを剥かなくてもたべれるらしい。
つまり、何も手伝うことはないようだ。
とてとて、と小動物のように動きながら椅子に座る。
アトレアは待たせたな。と椅子に座り、ひょいっと果物を口の中に入れた。
いただきます、と手を合わせ私もぱくっと口の中に入れる。
「???っ…!!!…すっぱ…!」
ひゃーっと頬に両手を合わせ、すっぱい、と言う表情をする。
「あぁ、それ熟してなかったやつだな。ほら、こっち食ってみろ。」
カゴの中から一つ、手でつまみ上げあーんと私の口の前に持ってくる。
ぱくっと食べると先ほどのすっぱさをかき消す、甘い味が口の中に広がった。
はわわ…と幸せそうな顔をする私にアトレアが
「お前意外と表情変化多いよな。」
と穏やかに笑った。
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