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採寸が終わり、おかみさんが棚の中に入っている色とりどりの布を取り出す。
「うーん…そうだねぇ。これとこれと…あとはこれかな…。メリーゼ!」
取り出した布を魔法で次々と服を作り上げていくおかみさん。
ふわふわと舞う光が布に触れるとパッと服が出来上がる。
おかみさんの魔法は錬金。基本材料があればなんでもぱぱっと作れるらしい。
綺麗に畳まれた服の入った紙袋を渡される。
またいらっしゃいな、と微笑むおかみさんに私は、ありがとうまた来るね、と手を振り、アトレアの元へ駆け出す。
ちょうどアトレアは隣の屋台から出てきたところだった
「アトレア…っ!!服…!もらった…!」
ぴょんぴょんとはしゃぐ私にアトレアはよかったな、と頭を撫でてくれた。
家に帰り、私はアトレアに自分の固定魔法を調べてもらうことにした。
ちなみに固定魔法、とは生まれつきその人に宿る天性の魔法のことである。
「アリス、力を込めて手をまっすぐ前に突き出してみろ。」
言われた通りに手を突き出す。
「そしたら、次は目を閉じ空の瓶を想像し、その中に液体が入るのを想像しろ。」
目を閉じ、想像する。
私の前には空の瓶がある。透明な何も入っていない瓶。
じっと見つめると暗闇のはるか上の方からどろりとした赤と黄色が混ざった液体が一滴、瓶の上から落ちた。
それと同時に手先にビリっとした静電気のような感覚と何かの獣の肌触りがした。
驚いて目を開ける。
伸ばした手の先には豹のような獣がいた。
輝く金色の毛並み、鋭い瞳は赤く染まっており、威嚇したような口元には鋭く大きな歯が見えていた。
いつの間にか蛇に戻っていたアトレアはその獣の首元に巻きつき、私にこういった。
『お前の固定魔法は雷獣だ。…お前になれれば指示で動くから、頑張れよ。』
きっとアトレアは笑っているだろう。声が震えて楽しそうだった。
「…アトレア。…どうやって懐けさせろと…?」
私の手にかぶりつくこの雷獣。
もう雰囲気的に殺意しか抱いていない。
……あとでお肉でもあげよう。
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