第1章 この世界

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水の中にいる感覚がする。 ひんやりしていて気持ちがいい そっと目を開ける。 「っ…!?!」 ゴボッと息が泡を立て上の方へ上がっていく。 目を開けた先には無数の蛇。 青、緑、茶、白、様々な色がある。 ぬるりと私の首で”何か”が動いた。 ヒッ…と声が出そうになったが先ほどの気持ちよさはどこに行ったのか辺りからの威圧がひどく、声が出ない。 目線を首の方にやると黒い蛇がいた。 吸い込まれそうな緑の瞳、いやに黒光りする鱗。口と思われるところからはちろちろと赤い舌をのぞかせる。 『お前、名前はなんという?』 頭の中に低い声が響く。 ふっ…と威圧が解けた。 少しよろめいたが、しっかりと足を固定する白蛇さんが居るおかげで尻餅を付かずに済んだ。 「島崎…島崎梨花…黒蛇さんは…?」 震える声で問う 『俺に名などない。…必要ならばお前がつけろ、梨花』 私に名前をつけろ、と申すのか。そうか。 「じゃあ……アトリア。星の名前から取った…」 『アトリア…ふむ、いい名だな。」 一つ考え込むようにしそのあとコクリと頷く黒蛇さん…アトリアはとても満足そうだ。 じっと緑の瞳で私をみるアトリア。 そのあと、息を吸い、ゆっくりと私に言った 『…お前は覚えているか。』 はて、という表情の私に困惑したかのようにため気を吐くアトリア。 『死んだのだ。車に轢かれてな。』 あっそのことか、と言う私の反応にやっぱり忘れていたな、とでもいうようなアトリアの表情。 どうやらアトリアはツッコミのようだ。 「覚えているよ、もちろん。」 伏せた目で一つ瞬きをし、私は言う。 『それでだな…お前には転生してもらうことになった。それも今までいた世界ではない。 ”幻想世界”とそちらでは言われるいわゆる魔法中心の世界だ。』 「……はぁ…」 こういう系の小説は私も前世で見たがこんなに簡単になっていいのか。 でもまぁアトリアがいいのならいいのだろう。 『けれどお前は色々危なっかしい。これの意味がわかるか。』 「わかりません…どゆこと?」 即答で答える。 『つまりは俺もついていく、ということになった。』 …なるほどわからん。 とりあえず……心強い…仲間…?ができました。
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