コーヒーの魔力

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「まぁ、あれやな、…うん。 あんなんただのひがみやから、気にせんでええ。」 「ひがみ?」 先生は気まずそうな顔で、横を見ながら続ける。 「…いや、こういうのに俺が口出しすんのもアレなんやけど…ほら、林って男前やし、優しそうやし、人気ありそうやん。 あいつらきっとな、また岡倉と林がヨリ戻ったんが羨ましくてゆうてるだけやと思うねん。 そんなん勝手に言わしといたったらー」 「誤解です!」 いきなり大きな声を出した私にびっくりして、先生が喋るのをやめた。 そらされていた視線が真っ直ぐ私に注がれる。 体温がじゅわっと上がったのを感じた。 「誤解?」 「私…私、栄太と復縁したわけじゃないんです。 ただ、友達に戻ろうってなっただけなんです。」 先生はぽかん、とした顔で私を見つめていたが、暫くしてから大きなため息をついた。 「なんや、そういうことやったんか。てっきりー」 そこまで言うと先生は、不自然に言葉を切った。 「先生?」 「……いや、なんでもない。 あ、そや、今回テストよかったな。」 「へ? …あ、はい、頑張りました!」 急激に変わった話題に違和感を抱きつつも、先生に褒められたことが嬉しくてつい頬が緩む。
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