コーヒーの魔力

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「けどお前、今まで世界史捨ててたんちゃったっけ。」 先生は目を細めて私を見つめた。 私はぎくりとしながら目線をそらす。 「いっつも点数ひどかったもんな。」 「えと…」 うまい返答を探していると、先生が顔を近づけてきて心臓が跳ね上がった。 「なんで今更頑張ろうと思ったん?」 ー先生のせいです、とは勿論言えるはずもなく。 「い、一回くらい頑張ってみようかなー、なんて…」 早鐘のようになり出した心臓の音を聞きながら、やっとの事でそれだけ返した。 先生はニヤリと口角を上げて笑った。 私の気持ちを見透かされているような気がしてまた視線を外してしまう。 「ええ心がけや。 よお頑張ったな。」 そう言って伸ばされた先生の手は、私の頭をわしわしとかき混ぜた。 「ちょ、やめてくださいよ!」 言いつつも心の中はもっと、という気持ちで満たされていた。
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