6. マンションの一室で

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「きのう、追いかけられときは、とっさにマンホールのフタをパワーハンドで開けてなんとかしのげました。ぼくたちの技術力は、地球のそれより進んでいるから、あの重たいフタを開けるなんて、どうってことないですが」  たしかに先野から聞いたあの状況でマンホールのフタを開けるなんて簡単ではないと思うが、異星人のスーパーテクノロジーというには、はなはだセコい。 「でも、きょうはちょっと油断してしまいました。事情はおわかりいただけたかと存じます。もし、このお金で満足いただけなければ……」 「いえ、これで取引成立としましょう」  これ以上語られたらアタマがどうかしてしまいそうだ。妄想、というなら、蒼宮麗亜よりこっちのほうがより重傷だ。
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