28人が本棚に入れています
本棚に追加
服がはち切れそうなその背中に向けて、先野は言った。
「お好きにどうぞ。訴訟をお待ちしております」
興信所「新・土井エージェント」の事務所──。
依頼者に渡すはずの報告書を小脇に抱えて面談コーナーから事務室へと戻ってきた先野を、三条愛美が見とがめた。
上下のスーツは純白で、赤いネクタイが紫のシャツの真ん中で揺れる謎のファッションを貫き通す先野に向かって、三条は、どうでした、と尋ねた。
今回の依頼は、先野が2人の探偵とともにつきっきりで半月間、調査を実施した。
自分は何者かに攻撃されている、だからボディガード必要で、攻撃してくる者を排除してくれという、どう考えても妄想としか思えないような依頼だった。調査する前から結果は明らかだった。
最初のコメントを投稿しよう!