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ここのところ、だれかの視線を感じる。
最初、それは気のせいではないかと思っていた。
資産家の愛人として寵愛をうけていたが、その彼も昨年末に亡くなり、蒼宮麗亜(あおみや れいあ)は新しい恋を探していた。どこかに金持ちの男はいないだろうか──。
エステ通いで美貌を保つのに余念のない牝豹のような麗亜に引き寄せられる男は多かったが、いくら人恋しくても金持ち以外はお断りだった。
そんなとき、カレが現れた。いくつもの会社を経営しているという事業家で(当人の弁)、多少風変わりなところはあるが(5万円のお小遣いを全部500円玉でくれたり)、金持ちというのは得てして変わり者が多く、麗亜はいちいち気にしなかった。
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