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ところが、新しいカレとつきあい始めたのとときを同じくして、ときどき何者かの視線を感じるようになった。しかし、振り向くと誰もいない。
街角で視線を集めることはしばしばあったが、それはいつも瞬間的なものであり、長時間──といっても数分であるが──続くことはない。だがここのところ感じるのは、まるで誰かにつけられているような、そんな粘りつくような視線なのだ。
けれどもストーカーというには具体的な対象が見えない。
カレには相談しなかった。余計な心配はかけたくなかった。これがきっかけで別れを切り出されたらコトだと思ったから。
気持ちの悪い数日が経過した、そんなある日──。
デパートでの買い物を終えて、地下の駐車場におりたときだった。
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