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財産をすべて差し出した末に捨てられた男が、未練を断ち切れずにヨリを戻そうと、その機会をうかがっているものの近づけない。もしそんな男が複数いて、入れ替わり立ち替わり彼女の近辺に現れていたとなると、誰ともわからないストーカーというのができあがる。考えられないこともなかった。
罪な女だな。
そこまで考えを推し進めて、先野はイスから立ち上がる。
そろそろ交代のために事務所から出かけなくてはならない。
いつかストーカー殺人に発展しなければいいが……。
上下白のスーツから着替えるべく、まずは更衣室に向かった。ブレない先野だった。
エステティックサロンの前で三条愛美と落ち合った。
「ストーカーはいたかい?」
先野は、いたわけはないと思いながら、問う。
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