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デパートのVIPカードで買ったシャネルの化粧品を入れたペーパーバッグを下げて、資産家に生前に買ってもらった黒のジャガーのドアを開けようとして、それに気づいた。
リアウインドーの端に、黒い小さな物体がくっついていた。虫かなと思ってよく見ると、金属製の人工物だった。
まさか、GPS?
指でつまんでよく観察する。GPSかどうかは判断できなかったが、見覚えのない機器に背筋がぞっとした。
その足で最寄りの警察署に駆け込んだ。
署の面談コーナーで応じてくれたのは、二人の巡査だった。一人は若い男性で、もう一人は中年の婦人警官だった。
女同士なら理解してくれるだろうと思ったが、それは甘かった。
「でも、どんな人かはわからないんでしょう?」
婦人警官の眼鏡の奥の目が氷のように冷たかった。
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