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麗亜はおそらく、これからどこかで食事をし、店を替えて酒を飲み、そのあとはホテルに落ち着くのだろう。
先野は人通りにまぎれて2人を追跡する。夕暮れの繁華街はネオンの光があちこちで明滅し自己主張が激しい。その光の洪水の下を大人たちが川のように行きかう。
時刻はまだまだ宵の口。人出はこれからどんどん増えていく。
先野は道行く人に歩調を合わせ、2人を見失わないように、しかしあからさまに追っている様子に見えないよう、視線を散らしながら歩く。
2人は寄り添いながら1軒の飲食店に入っていった。繁華街の通りから一筋入った路地の奥である。隠れ家的な店構えで、こぢんまりとした、けれども格調高い門には白いのれんがかかっていた。料亭? 一見さんは入店不可とみた。
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