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──あの男、見かけによらず、かなりの大物だ。もっとも、そうでなければ、麗亜もつきあったりなどしないだろうが。
こんなところで食事をするとなると、かなりの時間がかかりそうで、出てくるのはおよそ2時間後ぐらいか……。
先野は腕の時計を見る。8時半以降までは出てくるまい、と思った。それまでストーカーが接近してくる余地はないだろう。
が、ふと視線を感じた。路地から走る去る人影が、振り向いた視界の隅に映った。
先野は見逃さなかった。すかさず走って後を追う。
大きな通りに出た。車道にクルマが行きかう。ヘッドライトがまぶしい。
歩道を行く通行人の揺れ動く頭の向こうに、遠ざかっていく一人の男──。
ストーカーなのか……?
本当にいるとは思わなかった。確かめる必要がある。
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