4. 現れるか、ストーカー

15/17
前へ
/69ページ
次へ
 通行人にぶつからないように気をつけながら、街灯とネオンで明るい夜の街を走る。逃がさない。  今回の案件は依頼者の妄想の可能性が高いと思っていたが、そうではなかったようだ。先野にはそれが意外だった。やはり、かつてふられた男が未練を断ち切れずにストーカー行為に走ってしまったということなのか……。  具体的な被害に遭う前にそれに気づくとは、蒼宮麗亜もなんとカンの鋭い女だろう。もっとも、そうだからこそ、パトロンとなる男を捕まえることができるのだろう。一人の愛人に甘んじることなく、何人もの男を囲い込んでいるかもしれない、との想像も当たっているかもしれない。  もちろん、追跡している男はまったくの無関係であるかもしれない。たまたま、なんらかの理由で急いでいるということも考えられる。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加