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コンクリートの壁面に等間隔の金属製足場が飛び出していた。それを伝っていこうとするが、痛みで思うように体が動かない。
歯を食いしばりながら、3メートル近く這い上がり、アスファルトに突っ伏した。体中が痛い。体力を著しく消耗していた。はあはあと息をつき、もはや動くことさえできない。もちろん、不審人物の足取りはもはやわからない。
──しくじったぜ。
先野は路地に仰向けのまま、ビルの間の雲行く冬の夜空を見つめ、ひとり小さくつぶやいた。
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