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「詳しく調べてみましたが、これはただのマグネットでした。なぜクルマに取り付けられたのかはわかりませんが、実害はありません。ただの子供のイタズラでしょう」
若い男性巡査もめんどくさそうな感情を隠そうともしない。自分は他にも仕事を多く抱えていて忙しいのだ、こんな些時にはかかわっていられない──と言いたいのが透けて見えた。
麗亜は根気よく説明するが、説明すればするほど論理性に欠け、感情を理解してもらえなかった。
妄想ではないか、自意識過剰だ、と警察は結論した。
証拠不十分。警察は、この段階では危険性は少ないと判断し、動かなかった。
持っていき場のない憤りを抱えたまま、麗亜は警察署を後にした。
──絶対に気のせいなんかじゃない!
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