5. 妄想と現実と

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 三条は駆け寄り、尋ねる。 「買い物は、どちらまで?」  麗亜はジャガーのキーをあけ、店の名前をこたえた。それは三条もきいたことのある、会員制のスーパーマーケットだった。高級な食材を取り扱い、セレブマダム御用達として知られていた。会員でないと入店できず、しかも誰でも会員になれるわけではなかった。  駐車場から出て行くジャガーを三条の運転する軽自動車が追う。  曇り空。  国道を走ること15分ほど。巨大な倉庫のような建物の前の駐車場に入った。繁盛しているようで、駐車場の空きスペースを探すのにやや時間を要した。  離れた場所に駐車したクルマから三条が降りると、麗亜が歩み寄ってきた。 「いっしょにいらっしゃる? ここは会員制だけど、同伴は一人だけ認められているの」
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