5. 妄想と現実と

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 その探偵との接触ができたとしても、誰が麗亜のことを調べているのかまではつきとめられないだろう。守秘義務を盾に口を割らない。 「?」  ふと、麗亜のジャガーに視線を向けたとき、小さなものが空中を飛んでいるのが目に入った。虫かと思ったが、この寒い時期に虫が飛ぶわけはない。  気にするほどのことでもなかったが、三条は軽自動車を降りると、それがなにか確かめてみる気になった。どんな小さなことでも確認するのが探偵というものだ。  小さな、カブトムシほどの黒い物体は、麗亜のジャガーの周囲を巡ると、三条の見ている前でリアウインドーに取りついた。  三条はもっと近寄り、のぞき込むように目を近づける。  虫のように脚はなく、黒い表面には金属光沢があり、明らかに人工物だ。
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