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よく見ると、その物体から細い糸のようなものが駐車場の外へと伸びている。
なんだろう……。
おそるおそる手を伸ばす。
冷たい感触。指でつまみ取り上げると、三条は糸を伝って歩き出した。
駐車場を出て、歩道を進む。50メートル、100メートル……。
路地に入った。ビルとビルの間の、裏口へ回るための細い通路に、一人の男が背中を見せてしゃがみこんでいた。
なにかの機械を操作しているのか、それに気をとられていて、三条がすぐ背後にいるのも気づかない。
糸は、その機械へとつながっているようである。機械にはノートパソコンのような表示画面があり、ジョグダイヤルとジョイスティックがまるでテレビゲーム機のように見えた。
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