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つまり、知られては困ることを知ってしまった──と思われているようだと三条は察した。この男の不審な行動にどんな意味があるのか、正直、まったくもってわかっていなかったのだが、ここは相手のペースに合わせたほうが安全だと考えた。
しかし、こんな大金の提示は、それがただ事ではないと物語っていた。
──えらいことに首をつっこんでしまったかな。
ヤバい状況だな、と思った。
この男と蒼宮麗亜になんの関わりがあるのかまるっきり想像がつかず、三条は内心焦った。下手をすると秘密裏に消されてしまうのではないかと、背中に冷たい汗が流れる。
「あなたの立場では、そういうことなんでしょうね」
三条は意味深なセリフを吐いた。いかにもなにか知っている、と匂わせる発言はハッタリもいいところだったが、ここは最後まで芝居を打ち続けるしかなさそうだ。
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