29人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうです。蒼宮麗亜の相手です。でも、一応、彼女への実験調査は2ヶ月の予定で終了ですので……」
なんの話をしているのかわからず、三条は綱渡りをしている気分だった。
「地球人の女が大金を持つとどんな行動をするか、という追跡調査はまもなく終了し、先輩もぼくもまた別の調査活動に移行します。しかし──」
と、彼は窓の外に視線を送る。日が暮れかけていた。夕日が朱く空を染め、町も人も長い影を落としている。
「今まで地球人にはバレずにきたんですが……今後100年も200年もバレずに調査を続けるのは無理じゃないかと、正直ぼくも思うんですよ」
「200年?」
常識外れの時間スケールに耳を疑う。
最初のコメントを投稿しよう!