海西高校文化祭

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「こんにちは、雷翔君。こっちで直接会うのは久しぶりね」 「そうですね。ご無沙汰してます……でいいんでしょうか?」 「向こうではちょくちょく会ってるし、ご無沙汰って感じはないわね」 それからほどなくして、仕立ての良いスーツを着こなした聖夜さんが教室にやってくる。 小さく手を振り相好を崩す聖夜さんに応え、軽く会釈をするとにこりと微笑んだ。 「あれ? どうしたんですかそれ」 と、挨拶をしたところで聖夜さんの胸で揺れる、外部からの来校者であることを示す来校者証が入れられたストラップ付きのパスケースに気付き、尋ねる。 普段であれば確かに来校者はこの来校者証を身につけねばならないが、今日のような行事の場合は簡単な受付さえ済ませればその限りではない。 そもそもがゲストだらけなので、わざわざつけてもらう意味は薄いのだが、何故あえて彼は律儀に付けているのか。 「あら? もしかして聞いてないの?」 「聞くって、何をです?」 しかし尋ねてから、答えより先に返ってきたのはどこか不思議そうに首を捻る聖夜さんの問い。 だが聖夜さんはすぐに何かを面白がるような表情に切り替えると、「なんでもない」とはぐらかした。 はぐらかされると余計気になるものだが、粘ったところで答えてもらえるとも思えないので大人しく引き下がると、聖夜さんはよろしいとばかりに俺の頭に手を乗せた。 「あら撫でやすい高さ」 「男がそれを言われても傷つくだけなんですよ」 「あんたあたしより小さいもんね」 「うるさい! これからだこれから!」 男の身長は二十五歳まで伸びると言うし、希望を捨てるにはまだ早い。 遺伝的にはそれなりに伸びる筈なのだ。きっと。
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