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どうしようかと思っていると縁側の方から視線を感じ目を向けると障子に二足で立ってお行儀が……いいのかはわからないけれど、障子に前足を添えてこちらを覗いている狐が1匹。
人の姿じゃないところを見ると、それが今回の隠し味は毛事件の真相らしいわ。
なんだか見てはいけない気がしてずっと知らないふりをしているが、なぜだかキラキラした光線が当たっている気がする。
それはそれはもう、美味しいから食べてほしいと、自信作なんだ、頑張ったんだよ。とその光線は言っている。 否、訴えている。
しかし狐の毛が入っていてはどうしようもない。 どんな光線を浴びせられようが、私には食べる勇気も根性もないのだから、よって私の選択肢は一つしかない。
私は手を付けずに飛び出す勇気を出し、逃げる根性を出した。
これは仕方のないことよ。
さすがに毛が入った物は食べられないわ。 定食屋に行って誰かわからない髪が入っていたら「こんなもの食えるかー!」ってお皿をひっくり返すでしょう?
ひっくり返さなかっただけ感謝してほしいものね。
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