82人が本棚に入れています
本棚に追加
狐の尻尾も耳もあるけれど、神様ですと言われるよりも天狗です。と言われる方がよっぽど信用できるわよ。
尻尾と耳があるのに本当に天狗なのか聞き返すけれど。
「それにしてもアマネは大きくなったね。昔よくアマネのお母さんに抱かせてもたったよ」
「お母さんを知っているの?」
「もちろん知っているよ。アマネの名付けも許されたくらい親しかったし、手料理も絶品だった。それに――とても美人だったよ」
何かその言い方にむず痒いものを感じた。
何と言うか、恋のような、そんな何か。
「あなた、お母さんが好きだったの?」
「す、き……? 好きってなぁに?」
神様なのに好きが知らないなんてあるのかしら。神様だからこそ知らないとかあるのかもね。
私としては、神様のくせに好きが知らないとかそんなことよりも私の名付け親がこの目の前にいる変神で、お母さんとお父さんとご飯を食べていて――嗚呼、どうしよう。さすがの私も頭がこんがらがってきたわ。
なんにせよお母さん、お父さん、神様とは言え、信じてご飯をあげたりするのはあなた達らしいけれどダメよ。弱みに付け込まれてしまうかもしれないのよ。
「それでキミにお願いがあるんだ」
最初のコメントを投稿しよう!