かわいい巫女には旅をさせるべし

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 今日はいつもと違うなんだかどこか懐かしい夢を見た。 母が死ぬ夢ではなく、家族皆で笑っている夢。  夢の私の周りにはたくさんの人がいたり、馬渡の名前を呼んでいて、褒めていて、頭を撫でてくれていたり、抱っこされていたりした。  そして誰かに気付き、そっちに向かって走っていくと木から人が降りてきて私を抱きしめる。 その人は――そこで私は目を覚ました。  この夢は私が作った夢なのか、現実の懐かしい夢なのか私にはわからないのだけれど、過去にそんなことがあったような気もするし、なかったような気もする。  どっちが正しいのかは、昔の記憶がないから確かめられないけれど、何故私は今もこうして元気で生きているのだろう。 という不思議さがあるのは事実で、それを考えると私は誰かの育てられていたのかもしれないという錯覚に陥る。  でももしかしたら夢を見た通り誰かがいたかもしれない。  どちらにせよ私に言えることは、その夢は暖かく優しい夢なので、悪い気はしないということ。
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