かわいい巫女には旅をさせるべし

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「おはようアマネ。よく眠れたかい?」 「ええ、そうね……ってあなたいったい何をしているの?」 「アマネとボクの朝ご飯を作ってるんだよ」  それは見ればわかるけど、私が言いたいのはなんであなたがここで勝手に台所に入ってご飯を作っているのかってことなんだけど。  寝起きのせいもあってかあまり反論する気にもなれない。否、これは反論と言うよりも抗議の方が正しいか。別にそんなことは大きな問題ではないか。  いつも通り服を着替え箒を持って家を出る。  青空良好曇りなし。  鳥達の飛び立つ音に鳴き声あり。  少しの風に歌い出す木々。  それらに迎えられ一歩踏み出すと桜の雨。  冷たくも熱くもない風に頭を撫でられ一呼吸。  この光景も、気持ちも私だけが感じられる、私の特等席みたいなものね。席なはないけど。
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