神様です助けてください

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階段を降り、いつもの商店街にある昔ながらと言うか、露店のような八百屋に向かった。 「天音ちゃんいらっしゃい、今日も神社の掃除を終わらせてから来たのかい?」 「えぇ、まぁ」  ここのおばあさんはいつもこうやって声をかけてくれる。  ただ、私のことを知っている人によっては哀れんだような感じで話しかけてくる人もいるのでそれはとても嫌だった。  神社の子どもに生まれて可哀想に、両親を亡くして可哀想に、と。そんな誰かの心の声が聞こえてきて耳を塞ぎたくて、でも塞いだとしてもその声が聞こえなくなるわけではないから人と関わるのを極力避けている。  子どもはどこでどんな家庭に生まれるとか決められないし、神様は嫌いだけれどだからと言って両親が大事にしてきた神社をお粗末にはしない。だからこそ毎日掃除もしているわけだし、私も大事にしている。 誰かにとやかく言われたくない。  ただ、それだけなのだ。 「これおまけだよ」  ここのおばあさんはいつもおまけもくれる。 それをありがたく受け取り、次の店でもおまけを貰って帰ってきた我が家にはまだあの不審者がいた。やっぱり近寄ってきている気がする。  もしやこれは「大丈夫ですか?」と親切に声をかけて家に上がらせてお水を持ってくる間に家の中を物色する輩なのでは?なんてことを考えてしまう。
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