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遠くで雷鳴。紙で出来た空をゆっくり甚振るように引き裂くみたいな。
隣で寝ているこのクソみたいな男と私はどうして寝たんだっけ。昨夜、どういう風にしたんだっけ。
クソみたいな男の性器を口に咥えている時から降り続けている雨がこのままどんどん強くなって何もかも飲み込んでいくのを見たいと思ったり、雷鳴がちょうど頭上で光って音と雷がほとんど同時に視界を覆って稲妻が私に直撃して、今身につけている黒いビスチェと白いTバッグと、おっぱいとかお腹とかお尻とか陰毛とか身体のありとあらゆる部分をもれなく駆け巡ったあと周りのカーテンやベッドに燃え移って窓ガラスが割れて溶けて、その様々に焦げた匂いが混ざり合うところを想像したりしたけれど、本当にそうなったらたぶん死ぬほど痛いし後が面倒だから本当は嫌だし特別そういう趣味がある訳じゃないんだしそもそも死んじゃえば関係ないけど別に死にたい訳じゃないしな。
雨の日って本当、退屈。
雲がなめらかに流れていく。ふと思い出してする深呼吸みたいに。
タバコの吸い殻が溜まって部屋が独特の刺激臭に満ちていて気持ち悪いから窓を開けて空気を循環させたいのだけれどスズメバチの羽音がひどく耳障りだからどうしようか迷う。こんなに空がいかにもご機嫌ですという風に晴れていると気分を解放させなきゃいけないような気がして強いられるのは不愉快だからほとんど無意識にタバコに火をつけてしまってさらに部屋が酸っぱい匂いで一杯になって重くて粘つく。私を不愉快にした青空とひと続きになるのは不本意だけど窓を開けてスズメバチが通り抜けたあとの空気を部屋に送り込んで私の身体に無断で絡み付いていた酸っぱい匂いの因子を思い切り振り払う。その勢いで私は私を試すために外出をして要らないものをチラッと眺めたり必要なものを必要な数だけ買う。不意を突くようなときめきのある出会いは人も物も事も滅多に起こらなくて、時間や数量限定で値引きしてあるからという理由でものを増やすのは馬鹿みたいだし付加価値で値段の膨れ上がったものを所有して悦に浸るなんて弱いものいじめぐらい胸くそ悪い。
晴れの日は本当に心から憂鬱。
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