ヒトインフルエンザ

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 その後、政府の努力も虚しく他県でも感染者が発見された。ここでは武力での封鎖が行われた。 「俺は感染してない。ここを通してくれ!!」 「苦しいんです。く、薬を下さい」 「娘がヒトインフルエンザかもしれない。助けてください」 「離れろ」  隊員は空は向かい銃を何度も発砲し威嚇する。 「お前達は見捨てられたんだ。諦めろバイ菌どもが」  その言葉に激怒した男が隊員殴りかかって行く。しかし一発の銃声が鳴り響き、男は地面に倒れた。男の頭の一部は吹き飛んでいた。  反発する市民は殺害。武力行使もエスカレートしながら感染の抑止を強めていった。  しかし……感染の広がりは留まることを知らなかった。それに伴い、治安の悪化も広がっていった。    この頃には、鼻血を流した死体が日本の至る所に転がっていた。  日本の人口は半分以下にまで減少。今この瞬間もどこかで死者が出ている。  現在、日本で唯一の安全圏……それは国会議事堂の敷地内のみとなっていた。そこから一般市民は排除され、武装した隊員が取り囲んでいる。 「もう限界だ。ここには天皇を残し、我々はアメリカへ向かうぞ。天皇にはここから国内全土へメッセージを発信し続けてもらう。日本の象徴の最後の役目だ」 「総理、オスプレイの準備が整いました」 「よし、行くぞ」  総理を含めた主要な政治家達と一部の権力者は、我先にとオスプレイに乗り込んだ。
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