~ひと重~ ふわり、ほころぶ。

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 こんな場所に公園なんてあったんだ。  今日はとてもいい天気で、肌を撫でる春風が心地いい。こんな日に真っすぐ家に帰るなんて、そんな勿体ないことできるはずがない。  あまり遅くならなければいいよね。父も母もともに仕事人間で、家に帰ったところで居るのはハウスキーパーだけ。いつもひとりで食事をとり、誰とも会話することなく一日が終わる。  両親にとっての私は、品行方正で手のかからない、よくできた娘ってポジション。けどそれは狙ってふるまっているだけで、実際の私はそんないい子なんかじゃない。  勉強なんて嫌いだし、学校へ行くのだって億劫。それから羽目を外して、夜遊びなんかもしてみたい。後はそう、クラスの子たちのように、彼氏だってつくってみたい。  けど私の現実には、そんなもの夢のまた夢。だって私は長女だから、堅実に生きてゆかなければいけない。ひとつ年下の妹は世渡り上手で、親の目を盗んではうまく遊んでるみたい。  けどたまに、それが無性に嫌になる。押し潰されてしまいそうな重責に、何もかも投げ出して逃げてしまいたくなるの。  でも実際にそれができるかっていうと、答えはノー。そんな勇気なんてない。だからこうして、学校帰りに道草なんかして自分に言いきかせる、『私は大丈夫』って。
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