第一幕 辰之廊下

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獣人達が暮らす嗚呼獣(アーシシ)世界は、 長く弱肉強食の戦国乱世だった。 象田伸長(ゾオダ・ノブナガ)が圧倒的な力で天下統一、 ホトトギスを踏み殺した。 その臣下だった豊富狒々吉(トヨトミ・ヒヒヨシ)が、 ホトトギスを鳴かせ太閤となり。 最後、登竜池康(トウリュウ・イケヤス)が、 ホトトギス鳴くの待って登竜門くぐった。 その家康が極東の小さな大和列島の、 栄田(エデン)之園で開いたのが栄田(エデン)幕府。 栄田城では毎年、 各大陸を治める藩主が参勤交代で集まるのだ。 「ほほう、お栄田は我が藩と違い、 なんとも賑やかゴライ」 広大な阿弗利加(アフリカ)大陸を治める、 阿弗利加藩の若き藩主は、 安吾雷音立守(アンゴ・ライオンノタテガミ) 駕籠の中から覗く栄田之園の活気で、 期待に胸を膨らませた。 天守閣を望む栄田城に到着すると、 使いの網目麒麟之介(アミメ・キリンノスケ)に通され、 亜細亜(アジア)藩の白い老藩主、 虎上野介(トラ・コウズケノスケ)と対面した。 「安吾殿には上様こと、 五代将軍、登龍爪吉(トウリュウ・ツメヨシ)に謁見の際、 どう礼を尽くせば良いか教えてしんぜようトラ」 「おぉ虎殿、 この若輩者に有り難き幸せにゴライ」
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