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当然納得出来ない安吾は、
辰之廊下で虎に喰いかかった。
「虎殿!何ゆえ拙者に嘘を申されましたアンゴ!?」
「龍の逆鱗を知らぬ、
無知蒙昧なそなたが悪いトラ。
かような獅子に仕える家臣達は、
さぞうつけ揃いであろうなあ」
「おのれ!我が家臣まで侮辱するとは、
許さんトラ!」
鬣を逆立て安吾はその鉤爪で、
虎の額目掛けて振り下ろしたではないか!
「ギャ!痛いトラ!」
「安吾殿!殿中にござるガオ!殿中にござるガオ!」
「ええい!離せ!離すアンゴ!」
獣傷沙汰御法度の城内にて、
牙と爪を剥いて、
まだ虎に襲いかかろうとする安吾。
他の大名、家臣達に取り押さえられ、
怨嗟の咆哮は悲しく栄田の地に鳴り響いた。
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