喫茶店

2/6
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
そういって連れてこられたのは、落ち着いた雰囲気の店だった。 少しチャラい智和がこんな店を知っているなんて、意外だった。 そこで俺は珈琲と苺のショートケーキを、智和は紅茶とサンドイッチを頼んだ。 「深夜さんは、甘党なんですね」 「まあな。 こういうところに入ったら、基本的に甘いものを食べたくなるんだ」 「意外ですね」 「そういう智和こそ、甘いもの好きそうに見えるが?」 「僕は甘いものは苦手です」 「そうなのか。 ……智和のサンドイッチ、うまそうだな」 「おいしいですよー。 食べますか?」 「良いのか!? じゃ、遠慮なく」 そういって俺は智和の手首を掴み、自分のところに引き寄せてサンドイッチにかぶりついた。 「し、深夜さんっ!?」 なに慌ててんだ? 顔を赤くしてあたふたしている智和を無視して、サンドイッチを咀嚼する。 「ん、うまかった」 「それはよかったですね……」 なんでこいつ下を向いてるんだ? 「おい智和、顔を上げろ」 「……?なんですか?」 顔を上げさせると智和の口にサンドイッチにかかっていたソースがついていた。 「お前、口にソースついてんぞ」 「えっ、どこですか?」 「ここだよ」     
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!