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そういって連れてこられたのは、落ち着いた雰囲気の店だった。
少しチャラい智和がこんな店を知っているなんて、意外だった。
そこで俺は珈琲と苺のショートケーキを、智和は紅茶とサンドイッチを頼んだ。
「深夜さんは、甘党なんですね」
「まあな。
こういうところに入ったら、基本的に甘いものを食べたくなるんだ」
「意外ですね」
「そういう智和こそ、甘いもの好きそうに見えるが?」
「僕は甘いものは苦手です」
「そうなのか。
……智和のサンドイッチ、うまそうだな」
「おいしいですよー。
食べますか?」
「良いのか!?
じゃ、遠慮なく」
そういって俺は智和の手首を掴み、自分のところに引き寄せてサンドイッチにかぶりついた。
「し、深夜さんっ!?」
なに慌ててんだ?
顔を赤くしてあたふたしている智和を無視して、サンドイッチを咀嚼する。
「ん、うまかった」
「それはよかったですね……」
なんでこいつ下を向いてるんだ?
「おい智和、顔を上げろ」
「……?なんですか?」
顔を上げさせると智和の口にサンドイッチにかかっていたソースがついていた。
「お前、口にソースついてんぞ」
「えっ、どこですか?」
「ここだよ」
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