喫茶店

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智和が全然違うところを拭いてるから、俺は手を伸ばしてソースを拭い取った。 そして、今度は俺の指に着いたソースを舐める。 「な、な、深夜さんっ なにやってるんですか!?」 「…?なにがだ?」 「………………もういいです」 どうしたんだ?こいつ。 それよりも、智和の名前は少し長くて呼びづらい。 「なあ智和、お前のことあだ名で呼んでいいか?」 「へっ、あだ名…ですか?」 「ああ。 智和は長い」  「まあ、良いですけど…」 「そうか。 じゃあ今日からトモって呼ぶことにする」 「……何か、女の子っぽくないですか?」 「別にいいだろ。 そのほうが呼びやすい」 「じゃあ僕も深夜さんのことシンさんって呼びますね」 「そのくらいなら良いぞ」 「はい。 で、シンさんに聞きたかったんですけど、なんで毎週映画を見に来るんですか?」 「あー、怒るなよ?」 トモは映画館に働いてるから、理由を聞くと怒るかもしれんからな。 「ただの暇潰しだ」 「………ええっ!?」 そりゃ驚くだろう。 毎週映画館に通っていた理由が暇潰しだからな。 「俺は趣味という趣味が無くてな。 友人に勧められて映画を見だしたんだ」 「そうだったんですか… でも良かったです。 そのお陰でシンさんと会えたんですから」 そう言われると、なんか嬉しい。 「ありがとな」 「いえいえ」     
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