0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
翌日の午後、着信メールがあった。--トリップ承知した。本日、20時上野公園にて待つ--
河内みゆきはその夜の20時待ち合わせより少し前に上野公園に到着していた。
街頭がポツポツと光る暗がりの公園の中で待っていた。時計の針が時間を指した。
河内は辺りを見回すと暗がりの中に人影を見つけた。恐る恐る近づいてみると暗がりに立つ人影が手を突き出し制止するように合図をした。と同時に「河内みゆきか?」
と男の声がした。思わずビックリし黙ってしまった。「河内みゆきか?」と同じ質問が
聞こえてきた。河内は今度は「はい」とだけ短く返事をした。
「そうか、依頼は承知した」
「これよりトリップして因果関係を探ってくる」
「それでいいか?」
「はい」とまた短く答えるだけだった。
「何か質問はないか?」
「私の貰ったメールの内容をお伝えしても良いですか?」
「その必要はない」
「そうですか、分かりました」 「お名前を伺っても?」
「ジョー」「みんな俺をトリップジョーと呼んでいる」
「トリップってどういう事ですか?」
「ああ、それはその通りさ、あんたの過去にトリップしてくる、そして因果関係を調べて案件を解決する」「料金なんかはあとでメールする」
「料金の相場はおいくらですか?」
「だいたい100万と+αだ」
「そうですか、ではお願いします。」
「OK、了解した」「案件の内容はメールするからそれで確認してくれ」
「あの?トリップって超能力か何かですか?」
「まあ、そんな所だ。詳しく知る必要はない。」
「分かりました。お願いします。」
とは言ったものの依頼内容も聞かないで超能力って何の冗談かと思った。悪い悪戯かとがっかりもした。暗がりに立つ人物が少し笑っているように見えた瞬間
ジョーは胸の前で左手で右手首を掴んで「トリップ発動!」と言った。
その瞬間、その人影が青白く光った。青白く光った中で薄っすらとジョー草薙の顔が見えた。やはりその顔は笑っているように見えた。ジョー草薙は河内みゆきの前から消えた。
河内は辺りを見回したが先ほど目の前にいた人物は見当たらなかった。
「なんの手品?」呆然と立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!