温故知新

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薫子の誕生日を祝って、と題した飲み会も半ばに差し掛かった頃。 不意に誰かのひとつの疑問が薫子を襲った。 「そういえば赤坂、お前と樋口の仲はいつから?」 「は?」 「お、それ俺も気になってたんだよ佐藤さん」 「あたしもー」 「え?」 広がる同意の声に薫子は唖然とした。 驚きで幾度か瞬きを繰り返しながらいつの間にか隣にいた樋口を振り仰いだ。 「だって二人付き合ってるんだろう?」 当然のように言われて「それで?」と答えを催促される。 そのまま固まった薫子の代わりに、樋口が適当に場を取り直してくれた。 助かった。 御開きになった後、樋口と一緒になった帰り道でこっそり彼を盗み見た。 樋口の瞳は穏やかだ。 あの高志の誕生日からだいぶ日は過ぎた。 あれから彼からの連絡はない。 つまりそういうことなのだろう。 それを思うと痛む心があったが前ほどの辛さはない。 薫子は自分の単純さに自嘲した。 樋口は、自分は裏切らないと薫子に信じさせて見せようとでもいうように、あれからずっとつかず離れずで見守っていてくれる。 「赤坂さん、すみません。変な噂になっちゃったみたいで…」 「平気だってば。心配しすぎよ」 「でも」 「私は樋口くんが好きよ、信頼もしてる。それは間違いじゃないし」
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