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しかし、踵を返そうとする私の手を、縋るように彼が握ってくる。
「ナッちゃん、やっぱり怒ってる?」
私は、ちょっと振り返って微笑んだ。
「怒ってないよ」
しかし、心にもない事を言っているのは分かったのだろう。
再び踵を返した私を、彼の手が少し強く引く。
「ナッちゃん、ごめんなさい。僕、どうしたら許してもらえる?」
私は、もう一度ゆっくりと彼を振り返った。
「どうして、何も悪くないのに謝るの?」
「だって、ナッちゃんが怒ってるから……。
僕、せっかくの週末、ナッちゃんと仲良くしたいから」
切なげにわずかに眉根を歪められ、ちょっとだけ気持ちがグラつく。
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