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「冠くん。昨夜美佳さんに、いっぱいくっ付かれた?」
しかしこれにも、もちろん彼は答えられずに、短く喘ぎ声を漏らすだけ。
そして、
「や……、や……。ナッちゃ、それ、や……」
顔を歪ませ、涙目でようやく懇願してきた彼に、私は頷いた。
「ん。じゃ、止めようか」
しかし、タオルの上を離れたバイブは、
まだ、かろうじて濡れている胸の上に移されていく。
「あぁぁ、あっ……」
再び、彼の背中がピクンとしなった。
だが、これが限界だったらしい。
いきなり、ガシッと彼の手が私の手を掴むと、
一気に上体を起こした彼が、慌ててベッドから降りて
タオルも巻かずに寝室を走り出て行く。
そんな彼に、私は少なからず驚いた。
なにしろ、最初からバイブを使うつもりではあったものの
さすがにこれは予想外。
正直、恐らく初めて体験するだろうバイブの刺激に、
彼が、イッてしまうことは想像できたが、
そこに至らず、彼が部屋を飛び出て行った理由は思い当たらない。
それだけに私は、駆け出て行く彼の裸の後ろ姿を、やや呆然と見つめた。
そして、
「ちょっとやり過ぎた……、かな」
ポツッと独り言を呟き、クシャクシャになったベッドから降りて
それを整えだした。
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