第5章 モテ期到来?(つづき)

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そうして程なく、背後でパタンと扉が閉じられる音に気付くと、 ほぼ同時に、背後からギュッと抱きしめられた。 そして、ハッと小さく息を飲んだ私の耳元で、 「ナッちゃん、機嫌直った?」 やや拗ねた声に囁かれる。 「ごめん。なんか、ちょっとだけイタズラしたくなっちゃって……」 すると、にわかに押し黙った彼がそっと私から離れると、 今、整えたばかりのタオルケットを広げ、 それを羽織るようにして枕元に胡坐をかく。 「ナッちゃん、来て」 片腕を広げ、少しムッとした彼に誘われる。 私は、その誘いのままに、素直に腕の中へ入っていった。 「ナッちゃん、やっぱり怒ってた?」 包み込むように私を抱きかかえた彼に、細く尋ねられる。 「怒ったっていうか……。 昨夜(ユウベ)ね、冠くんのスーツに美佳さんの香水の香りが残ってて。 そしたら私、なんか色々思い出しちゃって。 ちょっと落ち着かないっていうか、ムカついたっていうか……」 そして、「だって……」と言葉を切る。
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