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「僕、昨夜何を言って、何をしちゃったのか憶えてないけど。
でも、美佳さんとすごく久しぶりに会って、頭に浮かんだのは、
ナッちゃんとのこの幸せを守る事だけ。
絶対に、もう誰にも壊されたくないって、すごく思ったから……」
そして、「それに……」と続けた彼が、
やっぱりお祝いとして貰ってしまったため処分することも出来ずに、
ミニバイブを持ち続けていたことを話してくれる。
「でも、本当に使いたいとは思ってなかったよ。
僕、ナッちゃんには僕で感じて欲しい。
あんな機械なんかで感じて欲しくない……」
必死さを滲ませていた彼の声が、
最後は、どこか拗ねたように尻すぼみに消えていく。
だが、そんな様子が可愛くて、
私は、またしてもちょっと意地悪がしたくなった。
「でもさっき冠くん、すごく感じてたくせに」
「それは……」
今度は、わざとこちらが拗ねたように言った横で
わずかに腕が緩められ、彼が言葉尻と一緒に俯く。
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