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細く息を吐くと
軽くカールした前髪が躍る。
不健康に白い肌の上
赤い唇は一際赤く染まり
まるで綻ぶ寸前の蕾のようだ。
「ああ……ダメだ」
ぬるい水で撫でるように顔を洗い
頭を振るうと首筋に涙のような雫が伝った。
さすがに――こんな姿誰にも見せられない。
目も当てられないほど卑猥な己の姿から目を背け
僕はシャツの襟元をパタパタと仰いだ。
なんとか
違う手を考えた方が身のためだ――。
思い直し掛けておいたジャケットに手を伸ばした。
その時だった。
「あっ……!」
ぐいと手首を捻り上げられた僕は――。
「お兄様……あのっ……これは……」
遅かった――思う間もなく。
焼かれるような視線の前に
隠しようもない淫らな姿を晒していた。
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