だしの香りは思い出の香り

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「悠太が来るんだ、そっか。なるほどね~」 城山は少し驚いたような顔をしてすぐににこにこと厨房の方を見つめる。 厨房の中では、遊佐が煮魚や肉じゃが、炊き込みご飯などを作っていた。 ここはあくまで洋食屋。 特別なリクエストでもない限り普段なら作っていないメニューばかりだ。 そのすべては先程から話に出てくる河合悠太のため。 そして、普段からこの店ではディナーの営業がないので、それを行うのは特別な予約があった時だけ。 つまり今日のディナーの営業自体も悠太のためなのだった。 そんなディナーの準備をする遊佐の顔はとても楽しそうで鼻歌すら聞こえてきそうだった。
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