だしの香りは思い出の香り

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その日から毎日のように悠太は店にやってきた。 裕三と一緒に来ることもあったが、次第に店にも菱川にも、そして何より遊佐にも慣れて居心地が良かったのか学校帰りに立ち寄ることが多くなったのだ。 過ごす時間は学校生活次第でまちまちだったが、休日は大抵朝から夕方まで過ごしていた。 そんな休日のある日―― 「おはよう、大祐くん」 「おーおはよう、悠ちゃん」 「その呼び方、恥ずかしいねんけど」 悠太が店内に入ってくると菱川はにこにこしながら迎えるが、悠太は恥ずかしそうにしている。 「どうしてだよ、いいじゃないの。俺と悠ちゃんの仲でしょ?」 そう言って菱川は笑顔で悠太に近づいてくる。 それを避けながらも悠太もどこか楽しそうだ。 「お、悠太、おはよう」 「あ、おはよう、直樹くん・・・・・・今日も手伝っていい?」 「もちろん・・・・・・でも、昨日もだったし。いいのか?」 「うん!当たり前やん・・・・・・まかないは期待しとるけど」 「そうか。今日は何が食べたい?」
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